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【書評】Learn or Die 死ぬ気で学べ プリファードネットワークスの挑戦

目次

書籍について

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https://www.amazon.co.jp/dp/4046040491/

  • 単行本: 256ページ
  • 発売日: 2020/3/18

書籍の概要

日本発のAI技術者集団プリファードネットワークス(通称、PFN)の創業者である西川氏と岡野氏の共著であり、
PFNの取組みや経緯、組織としての方針、そして深層学習(ディープラーニング)の可能性と彼らが目指す未来について書かれています。

書籍の目次(KADOKAWAホームページより)

はじめに  コンピュータの力で実世界の課題を解決する
Chapter.1 【存在意義】プリファードネットワークス(PFN)とは何か
Chapter.2 【理想】チームで成果を最大化する
Chapter.3 【情熱】何よりも自由を確保する
Chapter.4 【価値基準】常にラーニングゾーンに身を置くために
Chapter.5 【技術革新】深層学習の面白さ
Chapter.6 【組織開発】「何をやるか」と同じだけ重要な「誰とやるか」
Chapter.7 【資本政策】9割に及ぶ失敗を「推奨」するために
Chapter.8 【未来】AIとロボット、我々が見据える未来予想図
おわりに  巷で言われていることを疑い、可能性の抜け穴を探せ

所感

PFNの名前はよく聞くけど、PFNについて何を知っているかといえば深層学習ライブラリのChainerを作ったことぐらいしか知らず、なんだかスゴそうなAI人材の集団ぐらいのイメージでした。

HPの紹介文に

――9割にも及ぶ失敗を推奨し、成功率10%以下の仕事に挑み続けるPFNの思考とは?

とありますが、彼らがどういうマインドで技術上の難題に取り組んできたかが事例についての専門的な内容にも触れながら記述されていて、純粋に面白かったしとても勉強になりました。
専門用語には適宜説明があるのでコンピュータや数学に詳しくない方でも楽しめる内容です。

また、ただ技術を追求するだけでなく、会社を組織として有機的に機能させるためにどう考えているのか経営者としての視点からの記述も多くあり、そこも面白かったです。
西川徹社長と岡野原大輔副社長のコンピュータへの情熱、あくなき探究心が文字から強く伝わってきました。

最近、

2050 年までに、望む人は誰でも身体的能力、認知能力及び知覚能力をトップレベルまで拡張できる技術を開発し、社会通念を踏まえた新しい生活様式を普及させる。

www8.cao.go.jp
という「ムーンショット計画」が内閣府によって推進されていたり、

コロナの影響で離れていても実際に人と接触しているかのようなVR技術の発展がますます期待されるなど、仮想空間での生活やロボットとの共存がSFだけの話ではなくなっていますが、
5年後、10年後の人々の生活を変え、政府が目指す未来を実現するその中心にあるのはPFNなのかもしれないですね。